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解説

これは1982年2月27日、東京都渋谷区広尾羽澤ガーデンで行われた升田幸三九段-小池重明アマ名人の51手目△8五同金の局面である(角落ち戦)。この対局は升田最後の対局とされる。

対局前

この対局は、新雑誌「リベルタン」の創刊記念として企画された。升田は1979年に引退しており3年間対局が無かった上に、「新宿の殺し屋」などと呼ばれた一方の小池は2年連続でアマ名人位を獲得するなど当時まさに指し盛りの時期。さらに小池は角落ちで大山康晴に1勝、当時の名人中原誠に1勝1敗の結果を残しており、周囲の予想ははっきり小池有利だったという。

対局開始

対局が始まり、小池は中飛車に構えた。東公平の観戦記によると、角落ち戦での下手中飛車は昭和初期に升田が独力で考案し高段棋士たちをなぎ倒したらしく、それを見ていた大山が驚いたという逸話が残っている。小池はこのことを知ってか知らずか序盤は慎重に指し進め、高美濃に囲い飛車を三間に振り直した。

升田の「新手」棒玉

一方升田は金銀を前に繰り出すだけでなく玉も前線に繰り出した。駒落ち上手には良くあることだが、玉が出てきた場所がその場の人間を驚かせた。39手目「△8三玉」飛車の前に飛び出したのだ。「久しぶりに将棋指すから、メチャクチャだ」と升田は笑った。この飛頭の玉に仕組まれた罠に小池ははまってしまう。

升田の罠▲8五歩

小池は升田の金、玉、飛と縦に並んだ頭に▲8六歩△同歩▲8五歩と歩を叩いて作戦成功と考えた。小池の読みは△9四金の一手に▲8八飛でも▲8六角でも先手必勝というもの。しかし升田はあっさり△8五同金と歩を取り、この瞬間に小池の勝ちはなくなった。ここまで飛ばしていた小池の手が止まり考え込んだ。13分考え指した▲7四歩も悪手で、以下小池が▲9五角と角歩交換の大技をかけ追いすがるも既に大勢は決していた。101手まで升田の勝ち。

対局後

帰りたいとぐずる小池は周囲に押され無理やり宴席に引っ張り出された。始まったのは升田の独演会。升田に「▲8五歩と打ったのは、やはり素人やな。金が逃げると思うたんだろう。君は、私がプロだということを忘れとっただろう。」とまで言われ、小池はついに狸寝入りしてしまった。そのまましばらくして宴会はお開きになり、「小池君ありがとう。君は、升田健在なりを宣伝してくれた。バイバイ」と言葉を残し升田は去った。 雑誌リベルタンの編集長は、二つ返事でこの企画を受けた升田は小池の強さを十分知っており「(升田は)万事承知の上で、全力を挙げてこの強豪を叩き潰すために来ていたのだ」と記した。[1]

脚注

参考データ

有名局

先手後手棋戦対局日勝敗コメントリンク
小池重明升田幸三プロ・アマ最高峰の対決1982-2-27後手勝角落ち戦棋譜

本局面が掲載されている棋書

タイトル著者出版社発行掲載ページ局面評価
升田幸三物語 (角川文庫)amz東 公平角川書店2003

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