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棋譜統計
解説
上図は相掛かり☗2六飛型(浮き飛車戦法)の基本図である。
候補手
☖7二銀
新定跡手。急戦に強い。現在はプロ・アマ問わず☖7二銀型に構える場合がほとんど。
☖6二銀
旧定跡手。急戦に弱い。
☖9四歩・☖1四歩
端の関係を先に決めてしまおうとする手。数手後に再び定跡形に合流する。
☖3四歩・☖4一玉
その他、と言える指し手だが、いずれの手も特に悪手ということもなく、数手後に定跡形に合流する。[1]
☗2六飛型(浮き飛車戦法)
☗2八飛型と並ぶ、相掛かりの二大戦型の1つ。
特徴
長所
- 飛車を縦横に使える事[2] 。
- 飛車を中央や7・8筋に転回する事もあり、盤面全体を使った、ダイナミックな動きができる所が魅力。
- 飛車が敵陣に近いため、当たりが強くなってしまう事(☖4四角や☖2五歩)。
- 飛車の横のラインの位置が高いため、金銀が前に出ていくと、自陣にスキができやすい。
先手の方針
攻めに関しては、☗3七桂戦法、☗3七銀戦法、ガッチャン銀、ひねり飛車など、多彩でユニークな攻め筋が多い。
守りに関しても、中住まい、いちご囲い、相矢倉と、バランス型の囲い(急戦)から堅い囲い(持久戦)まで幅広い囲いを選択できる。
注意点は飛車の位置が高いため、角交換から飛車を狙われる筋を常に警戒しておく必要がある点である。
後手の方針
先手の飛車の横利きは☗7六歩などで止まるため、いずれ8筋の歩を交換できる。
☗2六飛型に対しては、☖8四飛の相浮き飛車の形になると、先手の多彩な攻めが直接飛車に当ってくるため、☖8二飛と引き飛車に構えるのが普通である。
先手から一方的に攻め込まれないように、攻め筋に対応した反撃筋を知っておくとよい。
先手から一方的に攻め込まれないように、攻め筋に対応した反撃筋を知っておくとよい。
塚田スペシャルと新・塚田スペシャル
塚田スペシャルとは、相掛かり☗2六飛型から先手が仕掛ける超急戦である。
上図から☖6二銀と進んだ場合は「塚田スペシャル」の仕掛けを、☖7二銀と進んだ場合は「新・塚田スペシャル」の仕掛けを目指す。
後手が銀を腰掛けようと☖6四歩とした瞬間に再度☗2四歩と合わせ、横歩取りの要領で6四の歩を狙い、序盤早々に一歩得してしまおう、という狙いである。[3] [4]
塚田六段(当時)はこの戦法を用いて公式戦22連勝という当時のプロの連勝記録を塗り替えた。
現在は対策の決定版があり、塚田スペシャルの仕掛けは成立しないことになっている。
対策の決定版の登場以降プロの公式戦から塚田スペシャルは姿を消したが、その考え方はひねり飛車に応用され、以後のひねり飛車の流行へと繋がっていく。
特徴
「6四の歩をかすめ取る攻め筋」と「1筋の端攻め」の2つの狙い筋がある。
また、いくつかの罠が存在する。
また、いくつかの罠が存在する。
対策
簡単な対策法は☖7二銀型にすることで、それだけである程度塚田スペシャルを牽制できる。
決定版の対策は谷川新手の自陣飛車で、これで後手良しになる。[5]
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[7]
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井上スペシャル
相掛かりの形から、後手が飛車先の歩交換した直後に、再度☗2四歩と合わせて手損することで後手番になるという、井上慶太五段(当時)の新手。[9]
谷川浩司九段は「指して損する井上スペシャル」と井上新手をからかったが、その4ヶ月後、王位戦第一局というタイトル戦の大舞台で谷川浩司九段は井上スペシャルを採用した。
脚注
- ただし、☖4一玉は形を決めすぎている嫌いがあり、例えば先手が☗3七桂戦法を用いた場合、☖4二玉型と違い5三の地点に利きがないため、何らかの手で5三の地点をケアする必要がある。
- ☗2八飛型は飛車を縦に使う。
- プロ間においては、この無条件の一歩得で勝敗が分かれるため、後手は全力でこの手を咎めようとする。しかしアマチュア間であれば、上手くいっても一歩程度の得であるので、明快に先手良しになる戦法、という訳ではない。僅かなリードを広げる力があって初めてこの戦法を使いこなすことができる。
- 相掛かり△6四歩をめぐる攻防;まとめ ☖7二銀型に構えた直後に☖6四歩と突く手が成立するかについての研究記事。
- 「塚田スペシャル」最期の日」 塚田九段本人による塚田スペシャル解説動画。
- あの戦法はなぜ消えたのか? - 塚田スペシャル 非常に分かりやすい解説を、kif for flashで実際に盤面を動かしながら学ぶことができる。
- 【将棋観戦】ゆっくりは消えた戦法に思いを馳せる【塚田スペシャル】 Aries氏によるゆっくり解説動画。
- 【将棋観戦】ゆっくりは消えた戦法に思いを馳せる【新塚田スペシャル】 Aries氏によるゆっくり解説動画。
- 谷川浩司九段「指して損する井上スペシャル」
参考データ
有名局
先手 | 後手 | 棋戦 | 対局日 | 勝敗 | コメント | リンク |
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谷川浩司 | 高橋道雄 | 第28期王位戦七番勝負第1局 | 1987-07-16 | 先手勝 | 井上スペシャルの棋譜 | 棋譜 |
本局面が掲載されている棋書
タイトル | 著者 | 出版社 | 発行 | 掲載ページ | 局面評価 | |
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よくわかる相掛かり (マイナビ将棋BOOKS) | amz | 中座 真 | マイナビ | 2012 | 15 | 第2図 |
最新の相掛かり戦法 (プロ最前線シリーズ) | amz | 野月 浩貴 | 毎コミ | 2010 | 7 |
ソフト評価値
評価値 | ソフト名 | 確認日 | 最善手 | 確認環境 |
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0 | aperypaq YaneuraOu KPPT 4.80 | 2018年3月10日 | ☖6二銀☗3八銀 | 探索深さ:31/41 探索局面数:1,542,282,474 |
-1 | aperypaq YaneuraOu KPPT 4.80 | 2018年3月19日 | ☖3四歩☗3八銀 | 探索深さ:34/18 探索局面数:595,596,651 |
-1 | dolphin 1/illqha 1.1 (YaneuraOu TNK NNUE) | 2018年12月 | ☖3四歩☗3八銀 | 探索深さ:34/41 探索局面数:1,662,625,287 |
類似局面
変化点 | リンク |
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☗2八飛型(引き飛車戦法) | Go |
本局面を解説内で参照している他の局面
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「固める」 | メモ | k_tp | 29ヶ月前 | 249ビュー |